ヴォクシー・ノアのCVT不具合は無料修理|保証13年を元整備士が解説

車のメーターに警告灯が点灯している様子。CVT不具合の警告灯のイメージ Uncategorized

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走っている途中で、エンジン警告灯がついた。しかも車が滑っているようなマークまで一緒に点いている。そのあと、なんだか加速しなくなった気がする。

ヴォクシーやノアでこの3つがそろったら、CVTのトルクコンバータを疑います。私はディーラーで整備士をしていた7年間、ヴォクシー・ノア・ヴェルファイア・アルファードでこの修理を何度もやりました。トルクコンバータとバルブボディを交換する、決まったパターンの作業でした。

そして大事な話があります。この不具合は、トヨタが無料で修理してくれます。保証の期間が13年に延長されているためです。ただし、その期限がいままさに順番に来ているところです。順番に説明します。

なぜ「滑っているマーク」まで点くのか

車が滑っている絵の警告灯は、スリップ表示灯(VSCの表示灯)です。横滑りを防ぐ装置が働いていることを示すランプで、本来は雪道やカーブで点滅します。

ところがCVTに異常が出たときも、これがエンジン警告灯と一緒に点灯します。横滑り防止装置が壊れたわけではありません。

理由は、この装置がエンジンや変速機の制御とつながっているからです。JAFの解説にもあるとおり、エンジン系に異常が出ると、安全のために横滑り防止装置の動作を止めます。止めたことを知らせるために、ランプが点灯することがあります。

現場では、この警告灯に対してよく相談されました。ですが2つ同時に点いているときは、たいていエンジンか変速機の側に原因があります。警告灯の意味は車の警告灯の意味一覧にまとめてあります。

加速しなくなるのは「フェールセーフ」です

警告灯が点いたあと、アクセルを踏んでも進まない、スピードが出ない、という状態になることがあります。

これは車がわざと性能を落としている状態です。異常を感じ取ったコンピューターが、それ以上壊れないように出力を絞ります。故障が進んだのではなく、車が自分を守っています。

この状態でも、多くの場合は自走できます。ただし加速が鈍いので、高速道路の合流や追い越しは危険です。一般道を選んで、そのまま整備工場かディーラーへ向かってください。

トヨタが保証期間を延長していた不具合です

この症状は、車の使い方が悪かったわけでも、当たりが悪かったわけでもありません。部品そのものに原因がありました。

CVTのトルクコンバータという部品の中に、ロックアップクラッチという機構があります。ここを構成する部品の一部で、製造のばらつきによって強度が足りないものがありました。頻繁に加速と減速を繰り返すと、そのクラッチが働かなくなる。そして警告灯が点いてフェールセーフに入る——というのが、トヨタ公式の告知に書かれている内容です。

これを受けて、トヨタは平成29年(2017年)7月に無料修理の対応を発表しました。保証の期間が大きく延びています。

期間
もともとの保証新車登録から5年、または10万km以内
延長後新車登録から13年以内(走行距離の制限なし)

これはリコールではありません。「ヴォクシー CVT リコール」で検索される方が多いのですが、正しくは保証期間の延長です。届け出が必要なリコールとは扱いが違うため、ハガキで一斉に案内が来るとは限りません。知らないまま実費で払った方が、実際にいました。

対象になっている車

車種型式製造された時期
ノア/ヴォクシー/エスクァイアZRR80G・ZRR80W・ZRR85G・ZRR85W2013年12月〜2016年4月
アルファード/ヴェルファイアAGH30W・AGH35W2014年12月〜2016年3月
ハリアーZSU60W・ZSU65W2013年10月〜2016年3月
アベンシスZRT272W2015年10月〜2016年8月

型式は車検証の「型式」の欄に書かれています。製造時期は購入した時期とは違うので、車検証で確認してください。

直してもらえる範囲は、トルクコンバータと、CVTの中の一部の部品です。私が現場でやっていた作業とちょうど同じ範囲になります。

期限は13年。いまちょうど、切れはじめる時期です

ここが一番お伝えしたいところです。

対象車が作られたのは2013年10月から2016年8月まで。登録はそのすぐあとなので、13年の期限が来るのは2026年の後半から2029年の後半にかけてです。

つまりこの記事を書いている2026年8月の時点では、対象車のほとんどが、まだ期間内に入っています。間に合います。

ただし、のんびりしていられる話でもありません。一番古い個体は、2026年のうちに13年を迎えます。そこから毎月、順番に期限切れになっていきます。

そして厄介なことに、これはリコールと違って一斉にハガキが届くとわけではありません。症状が出ていても、自分から言わないと始ません。現場にいたころ、保証で無料修理できるとお伝えして、とても感謝されたことが何度もありました。裏を返せば、知らないまま実費で払うところだった方がそれだけ多かったということです。

今日できることは1つです。車検証を出して「初度登録年月」を見てください。そこから13年が経っていなければ、対象になる可能性があります。数十万円が0円になるかどうかの話なので、電話1本かける価値は十分あります。

伝えるのは「車検証の車台番号」と「初度登録年月」、そして「エンジン警告灯とスリップのランプが点いて加速しない」の3つで足ります。

保証が使えなかったときの費用

13年を過ぎていた場合や、点検の結果この不具合に該当しなかった場合は、実費での修理になります。金額は小さくありません。

80系ヴォクシーのオーナーが公開している事例では、リビルト品(再生品)でのCVT載せ替えにディーラーの見積もりが約40万円でした。トルクコンバータだけの交換で済むか、CVTごと載せ替えになるか。ここで金額は大きく変わります。

見積もりを取るときは、この3つを聞いてください。

  • トルクコンバータだけの交換で直る見込みか、CVTごと載せ替えか
  • 新品か、リビルト品か(リビルト品の方が安い)
  • 作業後の保証は何年・何kmつくか

1社だけで決めないことをおすすめします。ディーラーと、CVTを扱っている整備工場の両方で見積もりを取ると、金額に差が出ることがあります。

直すか、乗り換えるか

40万円という金額は、車の価値と比べて判断する場面です。私の考え方をお伝えします。

直した方がいいケース

  • 走行距離が10万km以下で、他に大きな不具合がない
  • 足回りやエンジンの調子が良く、あと5年は乗るつもりがある
  • 同じ装備の車に乗り換えると、40万円では足りない

乗り換えを考えていいケース

  • 走行距離が15万kmを超えていて、他にも交換時期の部品が控えている
  • もともと数年以内に買い替えるつもりだった
  • 修理見積もりが、いまの車の買取額を上回っている

判断のときは、修理する前に買取の査定額を調べておいてください。「直して乗る」と「売って乗り換える」を並べて比べないと、感覚で決めてしまいます。査定の進め方は車の売却・査定で損しない方法に書きました。距離と寿命の考え方は車は何万kmまで乗れるかの記事が参考になります。

なお、故障している状態でも値段がつくことはあります。「動かないから0円だろう」と決めつけないでください。

乗り換えに傾いた方は、先に値段だけ確かめるのがおすすめです。→ 1回の査定で最大8,000店が金額提示のユーカーパックで愛車の値段を確かめる

修理に数十万かけるなら、月額定額で新車に乗る手もあります。→ 車のサブスク【オリコで乗ーる(おりこでのーる)】

よくある質問

警告灯が消えたら、直ったということですか

違います。エンジンを切って再始動すると、一時的に消えることがあります。ただし記録は車のコンピューターに残っていて、条件がそろえばまた点きます。消えたから大丈夫、とは考えないでください。

CVTフルードを換えれば防げますか

今回の不具合は部品の強度の問題なので、フルード交換で防げるものではありません。ただしフルードの管理はCVT全体の寿命に関わるので、無駄にはなりません。交換の要否は車種と年式で考え方が違うので、点検のときに相談してください。

そのまま乗り続けるとどうなりますか

フェールセーフのまま走ることになり、加速しない状態が続きます。放置すると内部の傷みが広がり、修理の範囲と金額が増えます。走行不能になる可能性もあります。早く見てもらうほど、選べる選択肢が多く残ります。

中古で買ったヴォクシーでも保証の対象ですか

保証は車についているので、購入した人が誰かは関係ありません。基準になるのは初度登録年月です。中古で買った方こそ、車検証を確認する意味があります。

まとめ

ヴォクシー・ノア・ヴェルファイアでエンジン警告灯とスリップ表示灯が同時に点き、加速が鈍くなったなら、CVTのトルクコンバータを疑ってください。横滑り防止装置が壊れたわけではありません。

この不具合はトヨタが保証期間を13年に延長し、無料で修理してくれるものです。対象車は2013年から2016年の製造なので、2026年のいまなら、多くがまだ間に合います。ただし古い個体から順に、期限が来はじめています。

今日できることを1つ挙げるなら、車検証を出して「初度登録年月」を見ることです。13年が経っていなければ、すぐ販売店に電話してください。経っていた場合は、修理の見積もりと買取査定を両方取ってから、直すか乗り換えるかを決めてください。

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