リコールを放置するとどうなる?車検・売却への影響を元整備士が解説

整備工場に入庫した車。リコールの無料修理を受けるイメージ Uncategorized

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「リコールのハガキが来ていたけれど、そのままにしている」。あるいは「案内なんて来ていないから、うちの車には関係ない」。どちらもよくある話です。

先に結論をお伝えします。リコールの修理に期限はありません。10年前に出たものでも、今から無料で直せます。ただし放置したままだと、車検・事故・売却の3つの場面で困ることがあります。

この記事では、放置すると具体的に何が起きるのかと、自分の車が対象かどうかを3分で確かめる方法をまとめました。ディーラーで整備士をしていた7年間、この修理を現場でやってきた立場から書きます。

リコールの修理に期限はない。ただし「期限があるもの」も混ざっている

リコールは、安全に関わる不具合をメーカーが国に届け出て直す制度です。安全のための仕組みなので、実施の期限は決められていません。何年経っていても、費用は1円もかかりません。

問題は、無料で直せるものがリコールだけではないことです。似た名前のものが4つあり、期限の扱いがそれぞれ違います。

種類 期限 案内は届く?
リコール なし ハガキが届く
改善対策 なし ハガキが届く
サービスキャンペーン 期限が決まっているものがある 届かないことがある
保証期間の延長 年数や走行距離の上限あり(例:9年以内) 届かないことがある

急いだほうがいいのは、下の2つです。「9年以内」「13年以内」と区切られているものが多く、過ぎてしまえば実費になります。それぞれの違いと実例はトヨタの無料修理・保証延長まとめで7件挙げました。

ここから先は、期限のないリコールを「放置したままだとどうなるか」の話です。

影響①:車検に通らなくなることがある

まず原則から。リコール未実施というだけで車検に落ちることは、ほとんどありません。車検は、その車が保安基準に合っているかを見る検査です。リコールを受けたかどうかを確認する項目はありません。

ただし例外があります。タカタ製エアバッグのリコールです。

国土交通省は平成30年5月1日から、危険性が高いと判断したタカタ製エアバッグの未改修車について、車検を通さない措置を始めました。令和2年5月1日にはその対象が広げられています(国土交通省の報道発表)。

対象になると、修理を受けるまで車検が受けられません。車検が切れれば公道は走れないので、生活に直結します。修理そのものは無料なのに、放置したせいで車が止まるわけです。

もうひとつ。リコールの内容がブレーキやライトなど検査項目そのものに関わる場合、実際に不具合が出ていれば当然落ちます。この場合はリコールだからではなく、基準に合っていないから落ちます。落ちる項目は車検に通らない項目一覧にまとめました。

影響②:事故のとき、責任を問われることがある

リコールが届け出られている状態は、メーカーが国に「このままだと危ないかもしれない」と申告した状態です。

その不具合が原因で事故が起きた場合、製造物責任法(PL法)にもとづいてメーカーの責任を問える可能性があります。一方で、案内が届いていたのに直さずに乗り続けていた場合は、こちら側の管理が問われる可能性も残ります。

ここは正直に書きます。保険金が出るか出ないかは、契約内容と事故の状況によって変わります。「リコールを放置していたから保険が使えない」と決まっているわけではありません。気になる方は、契約している保険会社に直接聞いてください。ネット上には断定的な情報もありますが、判断するのは保険会社です。

現実的な話をすると、直してしまえばこの論点自体が消えます。無料で、1日もかからずに終わる作業です。

影響③:売るときに一手間かかる

「リコール未実施だと査定が下がるのでは」と心配される方がいます。私の経験では、それだけで金額が大きく下がることはほとんどありません。買取店もリコールが無料で直せることを知っているからです。

ただし、まったく無関係でもありません。

  • 買取店によっては、入庫と手続きの手間を理由に減額の材料にされることがある
  • 直さずに売ると、その車を買った次の人にそのまま引き継がれる
  • 手続きが残っている分、査定当日に話がややこしくなる

売却を考えているなら、査定に出す前に直しておくほうがすっきりします。売るときの流れは車の売却・査定で損しない方法にまとめました。

リコールを直したうえで、まず相場だけ知っておきたいという場合は無料査定が手軽です。→ ガリバーの無料査定で愛車の価値を調べてみる

いちばん多いのは「気づいていない放置」

ここまで「放置」と書いてきましたが、現場で見てきた実態は少し違います。わざと放っている人より、対象だと知らない人のほうが圧倒的に多いです。

私自身がそうでした。

いま乗っているのは14万km走ったカローラフィールダーのハイブリッドです。記事を書くために車台番号を調べたところ、ブレーキ関係の対象車でした。整備士として同じ作業を何台もやってきた人間が、自分の車が対象だと気づいていなかったわけです。案内のハガキも届いていませんでした。中古で買った車なので、前のオーナーの住所に送られたのだと思います。

案内が届かない理由は、だいたいこの3つです。

  • 中古で買った車で、前のオーナーの住所に送られている
  • 引っ越したあと、車検証の住所を変えていない
  • サービスキャンペーンなど、そもそも一斉には案内されないもの

「何も来ていないから対象外」は、まったく当てになりません。知識がある人間ですら見落とします。だから調べる、という行動だけはご自身でやってください。

自分の車が対象か調べる方法(3分で終わります)

用意するのは車検証だけです。方法は3つあります。

1.国土交通省の検索で調べる(全メーカー)

国土交通省のリコール情報検索で、車名や型式から届出の内容を確認できます。メーカーを問わず調べられるので、まずはここです。

2.メーカーの車台番号検索で調べる(確実)

各メーカーのサイトに、車台番号を入れると自分の車が対象か調べられるページがあります。車検証の上のほうにある「NKE165-□□□□□□□」のような番号を入力するだけです。自分の車の話なので、こちらのほうが確実です。

3.ディーラーに電話する(いちばん早い)

車台番号を伝えれば、その場で調べてもらえます。買った販売店でなくてかまいません。未実施のものがあれば、そのまま予約まで済みます。

ひとつ注意があります。対象の車台番号の範囲に入っていても、対象にならない車が含まれることがあります。メーカーの公式ページにもその注意書きがあります。「範囲に入っていた=必ず無料」ではないので、最後は販売店で確定させてください。

よくある質問

10年前のリコールでも、今から無料で直せますか?

リコールと改善対策なら直せます。期限は設けられていません。ただしサービスキャンペーンや保証期間の延長は年数で区切られているものがあるので、そちらは早めに確認してください。

中古で買った車も対象になりますか?

なります。リコールは車に対して出されるもので、持ち主が誰かは関係ありません。むしろ中古車のほうが案内が届きにくいので、納車のときに販売店へ「リコールは済んでいますか」と聞いておくと確実です。

買った販売店が遠い/もう無い場合はどうすれば?

同じメーカーのディーラーであれば、どこでも受けられます。他県で買った車でも問題ありません。電話で車台番号を伝えて、予約を取ってください。

案内のハガキが来ないのは、対象外ということですか?

違います。住所が変わっていたり、中古で買った車だったりすると届きません。サービスキャンペーンのように、そもそも一斉には案内されないものもあります。届かないことと対象外であることは別の話です。

まとめ

リコールの修理に期限はなく、何年後でも無料で受けられます。それでも放置したままだと、タカタ製エアバッグのように車検が受けられなくなる例外があり、事故のときの説明も面倒になり、売るときにも一手間かかります。

そして本当に多いのは、対象だと気づいていないケースです。整備士だった私ですら見落としていました。

今日できることをひとつだけ。車検証を出して、車台番号をメーカーの検索ページに入れてみてください。3分で終わります。何も出てこなければそれで安心ですし、出てきたなら無料で直せます。

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