ハイラックスの警告灯はススかも|DPFとインジェクタを元整備士が解説

走行中のピックアップトラック。ディーゼル車のDPF再生と煤のイメージ Uncategorized

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ハイラックスでエンジン警告灯が点いた。走れないわけではないが、なんとなく力がない気もする。ディーゼルだから、そういうものなのだろうか。

その警告灯、煤(すす)が原因かもしれません。私はディーラーで整備士をしていた7年間、ハイラックスでインジェクタの交換を何度もやりました。煤が焼き切れずに溜まり、警告灯が点くというパターンです。

結論から言うと、短い距離ばかり走っている車ほど起きます。そして修理はかなり高くつきます。順番に説明します。

ディーゼルは煤を「焼いて」処理している

ディーゼルエンジンは、燃やしたあとに煤が出ます。これをそのまま出すわけにいかないので、DPFというフィルターで受け止めています。

ただしフィルターなので、放っておけば詰まります。そこで車は、ときどき排気の温度を上げて、溜まった煤を焼き切っています。これを「再生」と呼びます。

温度を上げるために使うのが、排気管に燃料を噴く専用のインジェクタです。エンジンの中で燃やすためのインジェクタとは別に、排気側にもう1本あるとイメージしてください。

短距離ばかりだと、再生が終わりません

再生には時間がかかります。走り続けている状態でないと完了しません。

近所の買い物だけ、通勤も片道10分。そういう使い方だと、再生が始まっても途中でエンジンが止まります。次に乗ったらまた最初から。これを繰り返すうちに、煤が溜まり続けます。

  • DPFに煤が溜まりすぎて警告灯が点く
  • 排気側のインジェクタが煤で詰まり、温度を上げられなくなる
  • エンジン側のインジェクタにも煤が付き、噴き方が乱れる

私が交換していたのは、エンジン側の燃料インジェクタと、DPF再生用のインジェクタの両方でした。どちらも煤がらみです。

ここは、乗り方が部品を壊している例です。ハイブリッド車でEGRが詰まるのも同じ理屈で、短距離ばかりだと温度が上がりきりません。30プリウスの振動とEGRの詰まりの記事でも同じ話を書きました。エンジンの形式は違っても、原因は同じです。

こんな症状が出たら疑ってください

  • エンジン警告灯が点く
  • 加速が以前より鈍い
  • 燃費が落ちてきた
  • マフラーから出る煙が濃くなった気がする
  • 走行中に、急に排気の音や匂いが変わる(再生に入っているサイン)

再生中に短時間でエンジンを切るのが、一番よくありません。途中で止めると煤が残ったままになります。「なんだか音が変わったな」と思ったら、そのまま10分ほど走り続けてください。

現場では「またこれか」でした

ハイラックスの入庫で、この症状は定番でした。診断機をつなぐと煤に関係するコードが出て、また同じ作業か、と思ったものです。

やっかいなのは、お客様に原因を説明しにくいことでした。壊れたのではなく、乗り方の積み重ねで詰まっただけだからです。「悪い使い方をしていたわけではない」ということを、まず伝える必要がありました。

実際、仕事で使っている方ほど多かった印象です。現場と自宅の往復で、1回あたりの走行が短い。荷物を積むので負荷はかかる。ディーゼルには少しつらい条件がそろっています。

逆に、長距離を走る車はきれいでした。同じ年式・同じ距離でも、中の汚れ方がまったく違います。ここまではっきり差が出る部品も珍しいです。

点検に出すときに伝えること

症状だけでなく、ふだんの乗り方を伝えてください。原因の見当がつきやすくなります。

  • 1回あたり、だいたい何分くらい走るか
  • 通勤や仕事で毎日乗るか、週末だけか
  • 荷物を積むことが多いか
  • 警告灯が点いたのはいつごろか

「近所しか乗っていません」の一言があるだけで、整備士は煤を真っ先に疑います。診断が早く終われば、工賃も抑えられます。

修理費はかなり高くつきます

正直にお伝えします。インジェクタの交換は安い作業ではありません。

燃料インジェクタを4本とも新品にすると、20万円前後が目安とされています。DPF本体まで交換となれば、さらに上がります。

だからこそ、ディーゼル車を買うときは延長保証に入っておく価値があります。ガソリン車より部品ひとつが高いので、保証の有無で出費がまったく変わります。

そしてこの不具合について、トヨタの無料修理は出ていません。公式の「保証期間延長等のその他の情報」と「サービスキャンペーン情報」を確認しましたが、該当する案内はありませんでした。通常の保証の範囲で対応してもらえるかどうか、という話になります。

プラドやハイエースでも同じことが起きます

ハイラックスに載っているのは2.4Lのディーゼル、ランドクルーザープラドやハイエースは2.8Lです。排気量は違いますが、同じGD型と呼ばれる系統のエンジンです。

煤の処理のしかたは同じなので、短距離ばかりだと同じことが起きます。プラドやハイエースにお乗りの方も、他人事ではありません。

なお、プラドにはEGRパイプの無料修理が出ています。低い速度からの全開加速を繰り返すとパイプに亀裂が入り、暖房が効きにくくなったり白い煙が出たりする症状です。新車登録から9年以内が対象なので、心当たりがあれば確認してください。

溜めないための乗り方

完全には防げませんが、進みを遅らせることはできます。

  • 月に1回は、30分以上続けて走る(再生を最後まで終わらせるため)
  • 再生中と思われるときは、途中でエンジンを切らない
  • 指定の規格のエンジンオイルを使う(ディーゼルは指定が厳しめです)
  • オイル交換をのばさない

オイルの管理は、ディーゼルではとくに効きます。放置したときに何が起きるかはエンジンオイル交換を放置すると起こる3つの悲劇に書きました。

よくある質問

AdBlueの補充を忘れたせいですか

別の話です。AdBlue(尿素水)は排気ガスをきれいにするための液体で、煤やDPFとは役割が違います。AdBlueが切れるとエンジンがかからなくなることがありますが、警告の出方が違うので区別できます。

添加剤を入れれば直りますか

すでに詰まってしまったものが、添加剤で元に戻ることはありません。きれいな状態を保つための予防策と考えてください。症状が出ているなら点検が先です。

DPFを外してしまう人がいると聞きました

やめてください。排気ガスの装置を無効にした車は車検に通りません。公道を走れなくなります。安く済ませたつもりが、車の価値まで落とすことになります。

ディーゼルは買わないほうがいいですか

そうは思いません。長い距離を走る方には、いまでも良い選択です。合わないのは、近所の買い物にしか使わない場合です。走り方と車の相性の問題で、車が悪いわけではありません。距離と寿命の関係は車は何万kmまで乗れるかの記事にまとめています。

まとめ

ハイラックスでエンジン警告灯が点き、加速が鈍く感じるなら、煤が溜まってDPFの再生が追いついていない可能性があります。原因の多くは短距離走行の繰り返しです。

インジェクタの交換は20万円前後かかることもあり、この件でトヨタの無料修理は出ていません。だからこそ、溜めない乗り方と延長保証が効いてきます。

今日できることを1つ挙げるなら、次の休みに30分以上、続けて走ってみることです。途中で止めないのがコツです。それだけで、溜まりかけた煤が処理されることがあります。

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