アクアの異音「ゴー」はハブベアリング|元整備士が解説

車の車輪まわりを点検している様子。ハブベアリングの異音チェックのイメージ Uncategorized

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アクアで走っていると、40km/hを超えたあたりから「ゴー」という低い音が聞こえてくる。信号で止まると消える。窓を閉めても聞こえる。タイヤの音にしては、なんだか違う気がする。

その音、リアのハブベアリングです。私はディーラーで整備士をしていた7年間、アクアとカローラフィールダーでこの修理を何度もやりました。「またこれか」と思うくらい、この2車種で多かった故障です。

この記事では、音の出方からどこまで絞り込めるかをお伝えします。修理費用、保証で無料になる可能性、放置したときのリスクも順に見ていきます。結論から言うと、すぐ止まる必要はありません。ただ、放っておいていい音でもありません。

40〜60km/hで「ゴー」と鳴るなら、リアのハブベアリング

ハブベアリングは、タイヤを支えて回転させている部品です。車輪の中心にあって、車の重さを受けながら回り続けています。ここが摩耗すると、回転にあわせて「ゴー」という音が出ます。

アクアで多いのはリア(後輪)側です。音の特徴はこうです。

  • 40〜60km/hあたりから鳴りはじめる。低速では聞こえないことが多い
  • 速度が上がると音も大きく、音程も高くなる
  • アクセルを踏んでも離しても、音の大きさはあまり変わらない
  • 止まると消える
  • 後ろから聞こえる感じがする(リア側の場合)

アクセルを踏んだときだけ音が変わるならエンジンや駆動系、ブレーキを踏んだときだけならブレーキ側です。「速度に比例して鳴り、アクセルとは無関係」がハブベアリングの特徴だと思ってください。

音の種類ごとの見分け方は車の異音の原因を音別にまとめた記事で解説しています。「ゴー」以外の音が気になる方はそちらもどうぞ。

なぜアクアとカローラフィールダーで多いのか

現場にいた感覚として、この2車種はとにかく入庫が多かったです。走行距離が10万kmに近づいた個体で、決まって同じ症状が出ていました。

理由のひとつは、この2台が同じ 1NZ-FXE というエンジンを積んだ兄弟のような関係にあることです。カローラフィールダーのハイブリッドは、初代アクアのハイブリッドシステムをほぼそのまま使っています。エンジンだけでなく、足回りの構成にも共通点があります。

つまりアクアで多い壊れ方は、フィールダーハイブリッドでも起こりうるということです。逆も同じです。トヨタは同じ部品を複数の車種で使い回すので、「この車種の弱点」は「その部品を使っている車全部の弱点」になりやすい。整備をしていると、この感覚が身につきます。

私自身、いまカローラフィールダーのハイブリッドに14万km乗っています。中古で買った1台です。正直、そろそろ来るだろうなと思いながら乗っています。後ろから「ゴー」が聞こえたら、真っ先にハブベアリングを疑うつもりでいます。

ちなみにアクアでは、冷えているときにエンジンがガタガタ震える不具合も定番です。こちらはEGRの詰まりが原因で、30プリウス・アクアの振動とEGRの記事に書きました。

音の大きさは「気のせい」ではないことが多い

異音の修理は、整備士の仕事のなかで一番やっかいでした。お客様が言う音を、まず再現するところから始まります。工場の中では鳴らない。試乗して、やっと聞こえる。そういうことが普通にあります。

そして音の感じ方は人によってまったく違います。同じ音を「ゴー」と言う方もいれば「ウォンウォン」と言う方もいます。だからこそ、お店に持っていくときは「音そのもの」より「どういうときに鳴るか」を伝えてください。

  • 何km/hくらいから鳴るか
  • アクセルを踏んだとき・離したときで変わるか
  • ハンドルを左右に切ったときに変わるか
  • 前後左右、どのあたりから聞こえるか

この4つが言えるだけで、整備士は原因をかなり絞り込めます。とくに「ハンドルを切ると音が変わる」なら、ベアリングの可能性がぐっと高くなります。カーブで車体が傾き、ベアリングにかかる荷重が変わるからです。

修理費用の目安

ハブベアリングの交換費用は、依頼先によって差があります。グーネットの解説によると、相場はこうなっています。

依頼先費用(一輪あたり)
ディーラー15,000〜30,000円
整備工場15,000〜20,000円
部品代のみ5,000〜8,000円

部品そのものは1万円もしません。費用の大半は工賃です。ハブまわりを分解して組み直す作業なので、時間がかかります。

注意していただきたいのは、片側だけ交換しても、しばらくして反対側も鳴りだすことが多いという点です。同じ距離を同じように走ってきた部品なので、寿命も近くなります。予算に余裕があるなら、最初から左右まとめて相談した方が、結果的に工賃が安く済むことがあります。

もうひとつ。車種や構造によっては、ベアリング単体ではなくハブごとの交換になることがあります。その場合は総額で10万円近くになることもあります。見積もりの段階で「ベアリングだけで済むか、ハブごとか」を確認してください。

5年10万km以内なら、保証を確認する価値があります

これが一番お伝えしたいことです。

トヨタには特別保証という制度があります。期間は新車登録日から5年間、または10万km走行時点のいずれか早い方まで。走行や安全に関わる重要な部品を、無料で修理してくれます。

対象となる機構には「前後アクスル機構」が挙げられています。ハブベアリングは、この前後アクスル機構に属する部品です。

ただし必ず対象になるとは限りません。トヨタの公式サイトには「下記のうち指定された部品となります」と書かれています。保証内容は車種ごとに異なるとも明記されています。お手元のメンテナンスノートを見るか、購入した販売店に電話で聞いてみてください。

現場にいたころ、保証で無料修理できることをお伝えして、とても感謝されたことが何度もあります。逆に言えば、知らないまま実費で払ってしまう方がそれだけ多かったということです。2万円が0円になるかどうかの話なので、聞くだけ聞いてみる価値はあります。

電話で伝えるのは「車検証の車台番号」と「走行距離」、そして「後ろから異音がすること」の3つで足ります。

放置するとどうなるか

鳴りはじめてすぐ走行不能になる部品ではありません。ただ、放っておいて自然に直ることもありません。

国土交通省がホイール・ベアリングの整備不足による車両不具合について資料を出しています。車軸まわりの異音やガタを放置すると、車輪の脱落や走行不能につながるおそれがある、という内容です。最悪の場合は、ベアリングが焼き付いて発火に至るケースも挙げられています。

順序としてはこう進みます。

  • 低い「ゴー」が鳴りはじめる(この段階で交換すれば費用は最小)
  • 音が大きくなり、車内での会話が聞き取りにくくなる
  • ガタが出て、ハンドルに振動が伝わる
  • 焼き付いてロックする(走行不能・きわめて危険)

音が出た時点なら、まだ一番安く済む段階です。「うるさいだけだから」と何万kmも引っ張ると、周りの部品まで傷めて修理範囲が広がります。次のオイル交換か点検のタイミングで、ついでに見てもらうくらいで十分間に合います。

車検には通るのか

結論から言うと、音が出ているだけなら通ることが多いですが、確実ではありません。

検査では「異常な音がするもの」「著しいガタが認められるもの」が不適合とされます。ポイントは「著しい」という言葉です。手で揺すってガタが分かるレベルまで進んでいれば落ちます。一方、音が出はじめたばかりの状態では引っかからないことがあります。

私は自動車検査員として車検の合否を判定する側にいましたが、初期段階のベアリングは判断が難しい部類でした。音は聞こえるがガタは無い、という車が実際にあるからです。

ただ、車検に通ったから安全という意味ではありません。検査はその時点で基準を満たしているかを見るもので、あと何年もつかを保証するものではないからです。車検で落ちる項目については車検に通らない項目一覧の記事にまとめています。

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よくある質問

タイヤの音との違いは?

タイヤの摩耗による音も「ゴー」と聞こえます。見分け方は路面によって変わるかどうかです。タイヤの音は、荒れた舗装で大きく、きれいな舗装で小さくなります。ハブベアリングの音は路面が変わってもあまり変わりません。タイヤの状態が気になる方はタイヤ交換時期の目安もご覧ください。

何km走ったら交換するもの?

一般的な目安は10万km前後です。ただし距離で決まるというより、使い方で差が出ます。段差の多い道をよく通る車、荷物を多く積む車は早めに来ます。私の経験では、10万kmを超えたあたりから相談が増えました。距離と寿命の関係は車は何万kmまで乗れるかの記事で詳しく書いています。

自分で交換できますか?

おすすめしません。ハブベアリングは強い力で圧入されていて、専用の工具がないと外せません。締め付けトルクの管理も必要で、失敗すると走行中に脱落する危険があります。タイヤを支えている部品なので、ここはプロに任せてください。

アクア以外にも起きますか?

起きます。ハブベアリングはどの車にもある部品です。ただ、同じ部品を使っている車種では似た時期に似た症状が出る傾向があります。カローラフィールダーハイブリッドはアクアと同じ 1NZ-FXE を積んでいるので、同じ距離帯で注意しておく価値があります。

なお4WD車では、同じ「ゴー」でもリアデフから鳴ることがあります。アクセルを踏んだときだけ鳴るのが違いです。RAV4のリアデフ異音と見分け方で解説しています。

まとめ

アクアで40〜60km/hから「ゴー」という音が出たら、リアのハブベアリングを疑ってください。アクセルと無関係に速度だけで音が変わるなら、可能性はかなり高いです。

費用は一輪15,000〜30,000円が目安です。ただし新車登録から5年・10万km以内なら、特別保証で無料になる可能性があります。まずはここを確認してください。

今日できることを1つだけ挙げるなら、車検証を出して、初度登録年月と現在の走行距離を確認することです。5年・10万kmの内側なら、販売店に電話する。外側なら、次の点検のときに「後ろからゴーという音がする」と伝える。それで十分です。

音が出はじめた今が、一番安く直せるタイミングです。

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